苺をつぶしながら
(Nikon D80)
「言い寄る」、「私的生活」、「苺をつぶしながら」。
田辺聖子さんの有名な3部作なのだそうです。
小川洋子熱から少し脱線して、久し振りに田辺聖子を読んでみました。
たまたま小川洋子さんの読んだ本の中に田辺さんの本があって、小川さんがとてもいいと書いていたから。
田辺聖子さんの本は中学生か高校生の頃少し読んだことがある。
「姥ざかり」とか「姥ときめき」とか、何でまた中高生がそんな・・・と思うけれど、これはすごく元気なハツラツとしたおばあさんが主人公で、その年頃でも「歳をとってもこんな風にエネルギッシュだったらいいな。」と思える楽しいおばあさんが出てくるのだった。
最近はそのシリーズは読んでいないけれど、多分、読めば面白いのではないかと思います。
他の本は最近も少し読んだかな。「孤独な夜のココア」だったと思います。
さて、この3部作。面白かったです。
このお話に出てくる人はすごい元気で、女性が勢いよく外に出て行った頃の解き放たれて自由を謳歌する時代の気分のようなものを存在で表しているようで、読むと、なんとなくあまりいいニュースがなく沈みがちな今の時代のこちらにまで気前良くエネルギーを分けてくれるようです。
他の所でも少し書いたのだけど、田辺さんのお話に出てくる女性たちは皆、少し前の、例えば自分が小学生だった頃の担任の女の先生位の女性を思わせる。
女性でもどんどん世間に進出して行けるようになって、目の前の海原がワッと開けて明るい未来に希望を持つ一方、古風なかわいらしい一面も併せ持つ女の人たち。
読んでいて懐かしいような気持ちになってきます。
そんな時代の女の人たちの恋はどうだったんだろう?
先生たちは私たちの前では先生だったけど、毎日どんなことを考えて過ごしていたんだろう?
6年生の時の担任、T先生(28歳、独身)。
一人身を気にしつつも生徒の前では「先生は、毎週別マ(別冊マーガレット)を買って読むのが楽しみだからいいの。」と言い張っていたT先生(ちょっと心配)。
3.4年生の時の担任、N先生(30歳位、独身)。
自分の席の本棚に三浦友和の写真(時代が・・・・・。)を飾り、「これが私の夫です。」と生徒に宣言するN先生(こちらもちょっと心配)。
今ごろどうしているでしょう。
どんな恋をして、どんな風に歳を重ねていったのでしょう?
読んでいたら先生たちに会いたくなりました。
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コメント
こんばんは。
田辺聖子さんの本は、「孤独な夜のココア」も含め、結構読んだつもりでいましたが、3部作は知りませんでした。
どういうわけか、3部作に限って読んでないと言う、間抜けな私です。
読んでいると、あの聖子さんの愛嬌たっぷりの笑顔が浮かんでくるのです。
そして「まぁまぁ、全ては何とかなるわよ。人生楽しみましょう~」と、言ってる気がするのです。
そりゃあイロイロあるけれど、女で良かった!と思えますよね。
3部作、ぜひ読もうと思います!!
投稿: k.k | 2012年7月14日 (土) 20時58分
k.k.さん、コメントありがとうございます。
私もこの3部作は知らなかったのですが、
記事にも書いたように小川さんが田辺さんの事を
書かれていたので久し振りに何か読んでみたいと思った時、
たまたまAmazonで見つけたのです。
「苺をつぶしながら」だけはタイトルがかわいい思って
うっすらと聞いたことがある記憶がある位でした。
なんだかすごーく元気な女の人が出てきます。
実は私、最近ちょっと気弱になっているので
エネルギーをチャージしてもらったような感じでした。
ほんと、イロイロあるけど「すべては何とかなるわよ」と
言われているようですね。力強い。です。
今、読んでみたいのは、お話ではなくて
小さい頃からの事を書いた本、「楽天少女通ります」と
いう本です。実は図書館で見つけたのです。
どんな風な子供時代を過ごしたのかな、とか、
聖子さんに影響を与えたのはどんな人だったのかな、とか
とても興味深いです。
あと、小川洋子さんが良かったと書いてらしたのは
「残花亭日暦」でした。
Amazonで文庫を見つけたので、そのうち買おうと
思っています。
投稿: anise | 2012年7月14日 (土) 21時41分