「untitled」
連休一日目の昨日は、目黒のブリッツギャラリーで開催されている 清家冨夫さんの写真展「untitled」のトークイベントに行ってきました。
清家さんと言えばライカで撮られた写真、銀塩の、濃厚なチョコレートのような美しい黒を思い受かべます。
その清家さんが、デジタル(DP2)で撮り、インクジェット・プリンターで制作した作品。
webでは拝見していましたが、プリントされたものを見てみたかった。
ある時、DP2で撮ったものをA3でプリントしてみた時に手応えを感じたのがDP2で沢山撮るようになった契機なのだそう。
同時にライカで撮ったフィルム写真をスキャンしたものと、RD-1で撮ったものをやはりA3にプリントしてみたらやっぱりDP2のものはよくて、これだったら会場に並べて見てみたいと思ったのだそうです。
今回の展示の中にはカラー作品が一枚あり、カラーについてのお話も聞けました。
「デジタルの本筋はカラーだと思う。」とのこと。
フィルムの時代からカラーに興味なし、今までカラーをやらなかったのは、
いろいろなカラー作品を見ても自分が欲しいと思うものにあたらなかったから。
物としての魅力が、お金を出してほしいと思う気持ちになれるものが無かったから。なのだそうです。
「デジタルでカラーが自分の手の中に入ってくれば、カラーのプリントというものが可能になりつつある時代になってくるのかなという気がしている。」
「心の中では、いずれデジタルのカラーに自分が欲しいようなカラーが出来るんじゃないか、と思っている。」
デジタルは新たな可能性を広げているのですね。
展示されている写真はとても繊細で、しばし眺めては幸せな気持ちに。
(本当は、人が沢山いなかったらもっとずーっと眺めていたかった。)
美しいものを見ると幸せな気持ちになります。
そして、家にこんな写真があったらなぁ。とも。
それを所有したいと思うような写真(心がざわざわするような写真)というのはこういうことか・・・と、清家さんの写真を拝見するたびに思います。
トークイベントの最後の方で、DP2は一枚撮るのに時間がかかるので撮る前によく見る。
沢山簡単にとれてしまうカメラではよく見ないで撮ってしまうけれども、そうすると写真を撮るときの大切なものを薄めてしまっているような気がするとおっしゃていたのがとても印象的でした。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
aniseさん、こんばんは
読んでいて、最近きれいなものをみてないなーってハッっとしてしまいました。
正確にいうときれいなものを見る目が衰えているということなんですけれど。
いい気候になってきましたし、aniseさんを見習ってどこか出掛けてみようと思いました。
それから「写真を撮るときの大切なものを薄めてしまう」というお話にすごく共感しました。
「きれいだな」と思う心と「いい写真を撮りたい」という心(欲?)を共存させるのは難しいです。
投稿: サリー | 2010年9月22日 (水) 20時10分
サリーさん、こんばんは!
私も、普段は忙しい日常でいっぱいいっぱい。
なかなかきれいなものを見たりする余裕がありません。
この日も久しぶりにきれいなものを見て、
我が身を振り返って反省したところです。
この反省を忘れずに、いきたいところです。
「写真を撮るときの大切なものを薄めてしまう」という話は、
共感すると共にこんなにすごい写真家になっても
純粋に写真を撮る気持ちを持ち続けていらっしゃること、
ますます清家さんを尊敬しました。
忘れちゃいけないことや大切な事、沢山ありますね。
投稿: anise | 2010年9月23日 (木) 20時08分