(Nikon D80)
昨日見に行ったもう一つの写真展は川鍋祥子さんの「針箱」。
去年ルデコで初めて写真を観た時から心に残っていて、とても楽しみにして行きました。
いろいろと思うところがあるのにうまく文章に出来ず、一日遅れのUPです。
今はもう壊されてしまったおばあさんの家を、川鍋さんはずっと撮ってきました。
きちんと畳まれた洗濯ものひと山、電気を点けたり消しやすいようにつけられた輪になった長い紐、ラップにていねいに包まれた急須。
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帰郷するたびに祖母の家を撮っていた。
その家に一人暮らしていた大叔母が入院し、誰も住むものがいなくなってからもなお
吸い寄せられるように取り壊されるまで数年間を撮り続けた。
日々の慌ただしい生活の中でふっと気持ちが緩む瞬間、
その景色に気持ちを馳せる。
そしてしばらくの間心の中でひんやりとした畳を歩き、置かれたままの針箱を眺め、
また現実の生活に戻る。
歳月を経て降り積もったこれらの景色に支えられて
私は今生きられるのだと思っている。(ギャラリーHP 解説より)
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窓を開ければいい風が入って、家が深呼吸しているみたいに時間を刻みだす。
きっと家に入るとその頃の時間を刻み始めるのだろうな。
(ギャラリーの床の木の匂いと木の廊下を撮った写真がシンクロして不思議な感覚になりました。)
電気を点けたり消したりする紐を見た時は、父が昔ホームセンターで木材を買ってきて作ったオリジナルのテレビを見るときの変な台を思い出してキュンとなりました。
愛しいものを撮った写真はやさしく、心にうったえてきます。
忘れがちになっていた、愛しいものへの純粋な気持ちを思い出した写真展でした。
写真展は明日まで、水道橋のアップフィールドギャラリーにて。
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