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2009年11月 7日 (土)

美しいままで

Dsc_4778

(Nikon D80)

銀座とお台場に用事があって出かけたついでに、せっかくなので(?)山手線に乗って恵比寿の写真美術館に行ってサルガドの写真展「アフリカ」と、この間見たコレクション展「旅」をもう一度見てきました。

今年の夏に国立近代美術館で数点見たサルガドの写真と同じものが数点展示されていました。その時は解説はなかったのでのんきにプリントのきれいさの事などを考えながら見ていたのですが今回解説付きで見て「こんな場面の写真だったのか・・・」とショックを受けました。
朝の光が神々しく降り注ぐ森の木の根元に人々が座っている写真は、解説がない時は単純に光がきれいと思ったのですが実は「エチオピア空軍からの機関銃攻撃を避けるために夜通し歩き、カレマキャンプに到着した難民たち」だったなんて。人々が並んで腰かける写真は「スーダンとの国境にあるアデ診療所。全村人がハンセン病に罹っていた」とありました。
栄養状況も悪く人々は空腹で感染症も多い。病気になっても満足に治療も受けられない。、戦闘も多く、それを避けて逃げる人たちや難民キャンプの生活で疲れている人たち。地雷の犠牲者はこれから先の人生をずっと義足などを使って生きていかなければならない。少年兵士までいて心が痛い。かつての緑多い農園や湖が砂漠となっている。これが日常の人たちが世界にいるのかと思うと。以前読んだ、アイザック・ディネーセンの「アフリカの日々」の美しいアフリカはもう過去になってしまったのか・・・?とショックでした。
でも、チラシにもなっている放牧の写真や、最後の一枚「ディンカ族のアマク放牧キャンプの夕暮れ。牛の戻ってくるこの時間が、一日の中で最も活気がある。」と解説されていたスーダンの写真は鳥肌がたつほどきれいな景色。アフリカに立つ動物たちと、輝く褐色の肌と澄んだ眼を持つ人たちもとてもきれい。この美しいものを、どうにか美しいまま残せないものか。と考えさせられました。

「旅」は2度目なので、さらっと見てきましたが、1度目に観たときと印象の違うものもありました。2度見てもやっぱりいいともうもの、もう一度見るとあれ?というもの、1度目よりも2度見て「これはじわじわ良さが効いてくるなぁ・・・」というもの、いろいろ。(木村伊兵衛の写真、チラシに載っている奈良原 一高のベネツィア「静止した時間」、深瀬昌久の雪のNYのビニール傘の人は2度見ても印象が変わらずいいなと思った。渡辺義雄さんの、ローマの修道女たちが並んで歩く写真をあらためていいと思った。)展示は見るたびに印象が変わるんだなぁと実感。

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コメント

ニュースでサルカド本人が学生たちに写真を見せていたのと
そういえばaniseさんも出かけていたのとがあったので
「アフリカ」を先週見てきました。
美しいと同時に考えさせられることも多く大きな感情のかたまりを飲み込んだようでした。
「旅」はサルガドを見た後でナントのんきなと一瞬思ったのですが
表現は多様ですから世界があり人生がありです。

今回は銀座で写真を見ることができなかったので
次回は足を延ばそうと思います。

投稿: グールドの帽子 | 2009年11月19日 (木) 15時06分

グールドの帽子さん、「アフリカ」を見てこられたんですね・・・!
>大きな感情のかたまりを飲み込んだよう
本当に、まさにそんなふうになりますね。
写真を見て感じたこと、知ったこと、考えたこと、沢山あり過ぎて。
何か自分たちでも出来ないだろうかと思ったり。
内戦のこと、美しい自然の姿が変わっていくこと、経済の事、
問題が山積みで、どうしたらいいか分からなくなったりもします。
ジョン・レノンが歌ったイマジンみたいに
「国境なんてない」・・・と同じ星に住む自分の問題として考えたりしたら
その場所が本来持っている美しいものや豊かさを健やかに保ち健やかに暮らせる、そんなことが理想ではなくなるでしょうか。

「旅」をアフリカの後に見ると別世界ですね。
でも一人ひとりそれぞれの人生ですね。

次回銀座に行かれた時のお話もぜひ聞かせてください。
いつも楽しみです。

投稿: anise | 2009年11月19日 (木) 22時22分

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