雨あがる
一番好きな映画は何かと聞かれたら、
多分「雨あがる」だと答えると思います。
故・黒澤明監督が亡くなる直前まで脚本を書いていた作品で、ラストシーンだけが空白になっていたものを長年一緒に携わってきた 助監督 小泉 尭史監督が映画化したものです。
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享保時代。
剣の達人でありながら、人の良さでなかなか仕官がかなわない寺尾明演じる主人公・三沢伊兵衛とその妻・たよ(宮崎美子)。
「これは、主人公とその妻の物語である。
夫の愛に生きている妻は、そのままの生活で満足している。
しかし夫は、貧しい生活が妻を不幸にしていると思っている。
もっと出世してもっと楽な生活を送らせようとあくせくしている。
妻は、そんな夫を見ているのがつらくて、悲しいのに夫には妻の心がわからない。」
(黒澤監督の覚書より)
長雨が旅の途中にある夫婦を宿場町に足止めさせる。
二人が泊まる安宿には雨が降り止むのを待っている人々が大勢いた。
そんな彼らの心をなごませようと伊兵衛は禁じられている賭試合で金を用意し、酒や食べ物を振舞う。人々に笑顔が戻ったとき、雨もようやくあがった。
やっと外に出られた伊兵衛は偶然若い侍たちの果し合いに遭遇し、懸命に彼らを止めるのだった。その様子を藩の城主である、永井和泉守重明が見ており、伊兵衛に藩の剣術指南番の話を持ちかけるー。
藩の剣術指南番のお話がどうなったのかはDVDを観ていただいてのお楽しみ(笑)ですが、ラストシーンがとってもいいです。
黒澤監督の覚書に「観終わって、晴れ晴れとした気持ちになるような作品にすること」とあるのですが、まさに、その通りのお話です。
また、ラスト近く、寺尾明演じる主人公が滝のあたりで何かしている(剣の素振り?不覚!忘れてしまいました・・・DVD観てください)のを「たよ」がタンポポの綿毛をふぅっと飛ばしながら待っているシーンが大好きです。「今充分幸せ」なのが伝わってきて、こちらまでシアワセな気分になってしまいます。
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雨あがる 特別版 販売元:角川エンタテインメント |
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