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2006年2月10日 (金)

マンディ

それは、昭和50年代中頃のこと。
とってもきれいな水彩画が、TVCMの画面に現れました。
そして、そのTVCMは語り始めるのです。
ーマンディが、森でみつけた小さな家ー

小さな私の目と耳はそのCMが流れる度にTVにくぎづけ。

初めて自分のお金で、ハードカバーを買いに本屋さんへ行きました。
今でも大切な本No.1は『マンディ』です。

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それは、女優ジュリー・アンドリュース(サウンド・オブ・ミュージックが有名)が書いた児童書で、
(彼女は他にも「ワンドゥードゥルさいごの一匹」など優れた児童書を書いています。)
主人公は、孤児院にいる10歳のマンディという女の子。

マンディはものごころついた時からその孤児院で育ちました。ですから、孤児院はもう彼女の家のようでした。
空想することが大好きで、一人でいても、少しも寂しいとは思いませんでした。
ただ、そんなマンディにも時々胸が痛くなるほど悲しくなって、いつまでも悲しみが消えないことがありました。月日が経つにつれて、その胸の痛みは強くなり、自分でどうしていいのか、その悲しみはどこから来るのか、訳がわからなくなってしまうのでした。それは、心が何かを探し求めているからではないかと思ってみたりしましたが、やはり、マンディには、よくわからなかったのです。

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このお話は、マンディが、その「心が探し求めているもの」を自分でみつけて手に入れるまでのお話です。
小さい頃はあまり分かりませんでしたが、大人になって読み返してみると、マンディの、胸が締め付けられる悲しさや、何かを探し求める気持ちや、最後にそれを手にした時のもうほんとに胸がいっぱいの安心した満たされた気持ちが痛いほど分かります。

孤児院という孤独な集団で育ったマンディは思いやりと強い心で自分が探しているものに向かって勇気をもって向かっていきました。

あとがきにはこうあります。
「人間は、一人ぼっちで生まれて来ます。
そしてみんな、自分で選んだ訳ではないのに、いろいろな境遇の中で生きていくことになります。
ながい一生の間には、誰でも、マンディとおなじような、寂しさや悲しみを、何度か味わいながら、暮らしていかなければなりません。
『マンディ』をお読みになった皆さんが、そんなとき、マンディの勇気や、女の子らしい思いやりを思い出し、夢を失わないで暮らしてくだされば、本当に、うれしいと思います。」

この素敵なあとがきを書かれたのは、マンディの日本語訳を書かれた岩谷 時子さん。

越路吹雪さんの歌をたくさん作られたかたです。

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