ポートレイト
まだ全然初心者なのですが、最近写真を撮るようになって、
今、「人」が撮りたくて仕方がありません。
レストランの厨房で働く人、
農業の人、宮大工、作家、お酒を作っている人、和菓子職人、歌舞伎役者、宇宙飛行士・・・などなど、仕事の数は、世界中星の数ほどあるのだから、数え上げたらきりがありませんね。
昔、橋口譲二さんの「17歳の地図」というのを図書館で見て、面白いなと思ったことがありました。
それは日本中の沢山の17歳を撮ったポートレイトで、
共通点はみんながその「17歳」という事だけなのです。
住む場所も、考えていることも違うんだけど、やっぱり17歳というのはすごいパワーの年齢だから、なんだか一見のんびりした野原の真下に、真っ赤なマグマがすごい勢いで流れてるようなそんな感じが伝わってきました。
昨日も図書館で「顔・美の巡礼 柿沼和夫の肖像写真」という写真集を借りてきました。
昔のものなので、被写体も、三島由紀夫や小林秀雄、棟方志功などなど昔の方ばかりなのですが、すごいオーラです。
写真なのに、それにすごく時間が経っているのに、今でもものすごいパワーが伝わってきます。撮るほうは被写体のオーラが強すぎて、写真を撮らずにはいられないのではないかなぁ。
途中に入っている、谷川俊太郎の詩もよかったです。
* * *
「ひとつの呪文」
時は急がない
見えない指で知らぬ間に
頬の線をゆるやかに修正する
目尻に繊細な皺を彫りこむ
時は完成をもとめない
流れる水のようにとどまらず
涙を微笑へと合流させ
迸る心を淀む心へと堰きとめる
時は絶え間なく人に触れている
時に優しくときにこのうえなく酷く
私達を生から死へと案内して
また新しく蘇るいのちに備える
そして写真はひとつの呪文
「時よとどまれ」と囁きながら
光が描く一瞬の真実に
永遠の幻をまぎれこませる
だが時は決してとどまることはない
新芽のみずみずしさを喜び
朽木の枯れた肌をたっとび
私たちは時のわざに酔いしれる
* * *
顔 美の巡礼―柿沼和夫の肖像写真 著者:柿沼 和夫,谷川 俊太郎 |
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